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〜横浜市中央図書館のテープ情報〜

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障害のある人にも、自分の住んでいる町の図書館で、気軽に本を借りてもらいたいと、障害者サービスをする公共図書館の数は増えています。
ところが、利用者の数を伺ってみると、驚くほど少ないことがあります。
知り合いの視覚障害者の方々に、公共図書館を利用しない理由を尋ねてみると、
  • 公共図書館が障害者サービスをしていることを知らなかった。
  • 自分の住んでいる地域にどんな公共図書館があるか知らなかった。
  • どんな本があるのかわからないから、借りようと思わない。
  • 点字図書館のほうが使い慣れている。
などが挙げられました。

最後をのぞく3つは、「情報が伝わっていない」ということに集約されます。
晴眼者は、本屋に行って積んである本を眺めたり、本の帯を読んだり、立ち読みしたり、新聞の広告を読むともなく眺めるだけでも、本についての情報が得られますが、視覚障害者の場合、そういうわけにはいきません。

「情報障害者」ともいわれる視覚障害者に図書館のサービスを提供する時、情報を、どこまで、どのような形で提供できるか、それが一つのポイントになるように思われます。

図書の情報を工夫することで、利用者の数がぐんと増えたと仰るのは、横浜市中央図書館の川上正信(かわかみ・まさのぶ)さん。
川上さんは、自らが全盲の視覚障害者で、横浜市で初めての視覚障害者の図書館職員として、長年障害者サービスに携わっています。
横浜市中央図書館が取り組む情報提供とは、どのようなものなのかを伺いました。

−情報提供の取り組みについて、教えていただけますか。

90分のカセット2巻による、新着図書案内を製作し、障害者サービスの登録者全員に、毎月、郵送貸出しています。
これは20年来続けているサービスなんですが、内容については、ここ数年新しい工夫をしています。

−テープはどのような内容なんでしょうか。

1巻目は、B面の半分ぐらいまでが新着の録音図書の紹介です。
これは、書名と著者名だけでなく、どんな内容なのかも紹介しています。

書名と出版社名を聞いただけじゃ読む気にならなくても、内容を簡単に紹介すれば読みたくなることがあるでしょう。
時にはテープのさわりをそのまま紹介することもありますよ。
例えばエッセイなどは、あらすじがないので、目次とか、本文を聞いてもらったほうがわかりやすいんです。

1巻目B面の残りは、ミステリーとか家族とか、テーマを決めて、他の図書館で持っている録音図書も含めて紹介しています。
これは、全国には約20万点もの録音図書があるわけですから、うちの館の図書だけでなく、もっと広く借りてもらえたらと思い、数年前から始めたことですが、かなり反響がありました。
2巻目は、新聞の読書欄や書評欄など、あえて墨字本の紹介をしています。

実は、以前は墨字本紹介の量がもっと多かったんです。
でも、録音図書になっていない墨字本の情報よりも、今すぐ利用できる録音図書の情報の方が魅力があるだろうということで、墨字本の紹介を減らしました。
でも視覚障害者の現状をいえば、墨字の図書、録音図書、そのどちらについても情報が不足していますよね。
だから、本当はどっちもたくさん紹介したいんです。
墨字本紹介を聞いて、録音図書の製作をリクエストしてくる方も多くいらっしゃいますし。
かといって、テープの巻数を増やせばいいかというと、それも難しい。
今でさえ、もっと少なくてもいいという利用者からの声もあるぐらいなんですから。
人それぞれではありますが、どちらを紹介するのがいいのか、悩むところですね。

−試行錯誤していらっしゃるわけですね。
他にも情報についてのサービスはありますか。

一年に一度、録音・点字図書の目録を新たに作っています。
墨字版、点字版、録音版、フロッピー版の4種類から選んでもらい、希望者に差し上げています。

−ところで、こちらの図書館では、録音図書の他、カセットブックなども多く購入しているそうですね。

実は、ある図書館で聞いた話ですが、視覚障害者サービス用に、カセットブックが200タイトルほどあるそうなんですが、ほとんど貸し出しされることもなく、眠った状態だそうなんです。
これについてはどう思われますか。

活かし方次第だと思います。

カセットブックは、うちの館でも、昔は人気がなかったんです。
というのは、カセットブックは、著作権の切れた古い作品が中心で、しかも大幅にカットされて、オリジナル性が失われてしまうものも少なくないですよね。
例えば「罪と罰」などは、カセットブックでは大幅に省略されて、テープ2巻ですから、これはもう、『本』と言えないわけです。

けれども、カセットブックにはカセットブックのいいところもあります。
時には著者本人の声が聞けたり、有名な俳優が読んでいたりしますから、そう思って聞けば、面白いし、楽しいんですよ。
でも、意外にそのことに気がついていない人が多くて、借りる人が少なかったんです。

それなら紹介してみようということで、数年前から、毎月の録音図書紹介の中で、カセットブックの最初の2分位を紹介するようにしました。
そうしたら利用がとても増えました。
それまで眠っていたテープが一挙に動くようになって、今では何人もの人が待っているぐらいの人気ですよ。

−情報を伝えることで、一挙に借りられるようになった。情報を伝えることがいかに大切かわかりますね。

そうですね。スタッフで相談しあって、カセットの内容を決めますが、それで反響があった時は本当に良かったと思います。
これからもますます利用していただけるよう、このテープ情報を工夫していけたらと思っています。

−ありがとうございました。

その後、私もテープをお借りして聞いてみました。
障害者サービスのスタッフが手分けして吹き込みを担当され、原稿の内容なども丁寧に作られています。

「利用者に対してどれだけ丁寧に情報を伝えられるか、それが図書館員としての気遣いだと思うんです。」

という川上さんの言葉が思い出されました。こうした配慮や熱意が、利用者の増加につながっているのだと感じました。

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【横浜市立図書館の視覚障害者サービス】
(数字は平成11年3月時点)

  • 市内16館で障害者サービスを実施。
  • 内容
    • 対面朗読、
    • 個別録音サービス(図書、新聞、雑誌など必要な部分をカセットテープに録音して、郵送貸出し)
    • 録音図書の制作・貸出、雑誌(点字やテープの雑誌)の貸出。
    • 拡大写本サービス(希望の資料を読みやすい大きさの字に手書きして提供)      
    • 大活字本の貸出
    • 拡大コピーサービス(一枚20円)
    • 拡大読書器や拡大鏡の館内貸出。
  • 登録者数・・・628人
  • 録音図書の所蔵タイトル数・・・7902タイトル
  • 録音図書は全て中央図書館で管理し、郵送貸出。(希望者は中央図書館に電話)
  • 平成11年度中の録音図書貸し出し数 10423タイトル
  • ホームページ http://www.city.yokohama.jp/me/kyoiku/library/
【横浜市中央図書館】
  • 所在地
    横浜市西区老町1(JR、東急、市営地下鉄の桜木町駅より徒歩12分)
  • 障害者サービスの直通電話&Fax
    045−250−1619
  • 中央図書館では録音図書をその場で聞くことも可能。
    音声読書機やパソコン、点字図書、視覚障害者に関連する墨字資料もあり。

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