朗読録音テープ作りにかかわって、10年になりました。始めた動機の根っこには、子供の頃からの本好きが
あったように思えます。
小学生の頃は、毎月届く世界童話全集を、表紙がとれる位繰り返し読み、中・高生の頃は、学校の図書室の
本を片っぱしから、勤めに出てからは、本屋さんで選びに選んで買った文庫本を大事に読みました。これは、今の私の活動を支えてくれていると思います。
ただ、気を付けなければならないのは、本に没頭してしまうことです。録音は、閉めきった部屋でひたすら本と
マイクに向かう、孤独な作業です。講習の度に、先生から「聞き手の存在を意識して」と教えられ、肝に銘じますがなかなか続きません。最近は本の向こうに写真を立てて、時々、目をやりつつ読んだりしています。効果があるかは疑問ですが。
多くの情報を、より早く、大勢の方に届ける。そういう目的の中で、より聴きやすい良いテープとはどんなテープか。考えると、納得のいくものはまだまだという感じです。
何年も前、子供たちに昔話を語る会の後、子供から「おばちゃん、お話上手だね」と言われ、ドキッとしたことがあります。自分の語りの中に、どこか「上手に」という意識があったんだ、本当なら「お話、面白かった」と、お話の方が残らなければならないのにと、反省したのでした。
テープ作りにも、これと共通するものがあると感じます。著者の思いや意図が、そのまま聞き手のところに届く
。うまい読みではなく、内容が印象に残る。そんなテープ作りが出来ればいいと、実現は難しくても、理想は高く
持ち続けていきたいと思っています。
声を出すことは健康にも良いようです。これからも、体力作りの体操、発声のためのコーラスを続けて、そのときの自分の力に正直に、良いテープ作りを目指したいと思います。(Jだより第1号−1997年7月発行−より転載)
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